上山院長ブログ

2018.07.30

臭いと常在細菌叢(じょうざいさいきんそう)の関係とは

 デオドラント関連製品が、売れる時期になりました。

今年は気温も高いですし、汗も多いのではないでしょうか?そうすると気になるのは、“臭い”ですよね。

不思議だと思いませんか。

なぜ体臭はそれぞれ違うのか。

好きな臭いもあれば、中には受け入れ難い臭いもありますよね。

形成外科でよく関わる臭いといえば、“腋臭症”(えきしゅうしょう=ワキガ)です。

アポクリン汗腺から出る汗を餌として、常在菌が繁殖し、蒸散することで臭いを発します。

エクリン汗腺は全身にありますが、アポクリン汗腺は耳や腋窩(わき)、乳輪、臍部(へそ)、陰部、肛門周囲というように、局在しています。

この臭いの改善のために、

①デオドラント製品(銀やアルミニウム系:ケイセイのDシリーズ等)

②ボトックス注射

③アポクリン汗腺を除去する手術(腋窩限定)

④2011年~ミラドライ、2014年~ビューホット日本に導入

以上の方法が挙げられますが、④の機器により、今までできなかった乳輪や陰部に対し、根治的アプローチもできるようになったことは、画期的だなと思います。

しかし、まだ限界があります。

「常在細菌をいかにコントロールできるようになるか」は、健康面そして美容面においても欠かせない課題といえるでしょう。

最近では、あらゆるものに“乳酸菌”が含有されていますが、これは「常在細菌叢の影響が結構大きい」という事が、解明されてきたからだと思います。

便移植加療もされるようになりましたが、常在細菌叢の理想的なコントロールには、まだ時間がかかりそうです。

自分が良い臭いと感じる人には、やはり惹かれますし、そうでない場合印象が悪くなる可能性は高いです。

そして自分が良いと思った臭いが、必ずしも他の人が良いと思うわけではないということも、面白い点ですね。

恋人同士や親子、夫婦や友人など、人と人との接触は、遺伝的多様性のためとも思われますが、もしかしたら良い菌の交流のためなのかもしれません。

果たして「ヒトが細菌を利用しているのか、細菌がヒトを利用しているのか・・・」、ふと猛暑の中、疑問を抱いてしまいました。

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